2021.12.23 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第39回【不動産投資家調査】

不動産投資家調査(日本不動産研究所)

 

 日本不動産研究所が半年に1回公表している「不動産投資家調査」を不動産の投資利回りの推移を見る参考資料として弊社は重視しています。多数の投資家の予想値の集計結果であり、現時点と近い将来の不動産投資マーケットを投資家がどのように見ているかがおおよそわかるためです。

今回も定点観測的に2021年10月現在の最新版の内容を参照してみました。

日本不動産研究所のサイト  https://www.reinet.or.jp/?page_id=172

不動産投資家調査

※投資家調査の前提:188社の不動産投資関連企業(銀行、生保、大手不動産会社、外資系投資銀行等)への回答依頼をかけ、うち148社からの回答を受けての調査結果となっています。

 

①投資種別毎の期待利回りの推移

オフィスビルのうち、Aクラスのビルは不動産の新規投資需要を背景に、6か月前よりも利回りが

平均で0.1%低下しており、総額が大きく、資産価値の維持しやすい投資対象へのニーズが底堅い。(東京大手町:3.4%と▲0.1%/大阪御堂筋:4.5%と横ばい/名古屋は4.6%と▲0.2%、等)

賃貸住宅もワンルームタイプで0.2%、ファミリータイプで0.1%と低下している。(投資相場が高止

まりしており、今回、東京都心、大阪、名古屋、他大都市圏の賃貸住宅の利回りはそれぞれ低下しており、オフィスビル以上に安定性の高い資産への投資ニーズが更に高まっていると見られる。)

物流施設、倉庫の投資利回りはコロナ禍の中で、ニーズが増加している為、利回りの減少(価格上昇)

が続いている。

商業店舗は前回調査では、利回りの減少は一旦下げ止まったかに見えたが、今回、名古屋、大阪で利回りの低下が見られることから、商業物件の価格もこれからまた上昇が見込まれる。

宿泊特化型ホテルの期待利回りは6か月前の調査では利回りが上昇(投資相場は下落)したが、今回

調査では、利回りの上昇は止まり、一部のエリアでは反転して利回りの低下(投資相場の上昇)がみられる。宿泊需要がコロナ前まで回復したとは考えにくいが、旺盛な不動産投資需要の余波を受けて、ホテル物件も元本価格の下げが止まったものと考えられる。

賃料動向は6カ月前の調査よりも「ピークを過ぎた」と見ている投資家が増え、元本価格の強含みの予想に比して、テナントの賃料削減の傾向が強いことを反映して弱含みの将来予想がされている

 

元本価格は6か月前と比べると、「今がピークである」との回答割合が増加していることから、「相場が天井、または将来下落」の予想から、「しばらく高値相場維持」と見直す先が増えている。

 

④不動産新規投資へのスタンスは約2年間のコロナ禍中でも宿泊施設等、一部の資産を除いて衰えずに

推移し、経済喚起のための金融緩和等が逆に追い風となって不動産投資の需要は底堅い。今後の金融引き締めで不動産投資需要に悪影響を与える可能性は残るものの、当面は不動産投資相場の大幅な下落が見込みにくい。