2022.04.27 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第43回【思いのほか手がかかる相続空き家の売却(②売却方法、価格に関する考え方)】

空き家

先月に続き、実際の売却活動にあたって留意すべき事項を列挙します。

これらは弊社が取り扱った事例から抜粋しますが、相続した家の事情、
売却する空き家の状態等によりケースバイケースで、該当する事項は
売却方法と売却価格に大きな影響を与えますので、詳細な検討が必要に
なります。

 

 

更地にして売却? *分割して売却? *一般に売却? *プロに売却?

●税制特例が使えるかどうか
税制特例の詳細は税理士さまにご確認いただく必要がありますが、
要点だけ記載いたします。

・相続空き家の特例適用
平成28年度税制改正で空き家対策のためにできた税制です。売却
時にこの税制を適用する場合、権利者1人あたり3,000万円の控除
が受けられますが、売主で「建物の取り壊し、滅失登記」をする
必要があり(一部例外あり)売却のための準備作業が発生します。

・小規模宅地の課税の特例の適用
この特例が適用できる場合、相続税評価上、土地の評価減が受け
られますが、同居親族、家なき子等が相続した後、相続税申告期
限までは売却することができない為、売却時期の検討が必要です。

・相続税の取得費加算の特例の適用
相続後、諸事情により空き家をすぐに売却できない場合でも、空
き家の相続人は相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売却する
ことで、この空き家に対応する相続税を取得日に加算できます。

●最有効使用と売却方法、売却価格の関係
・中古住宅としての売却か、取壊後の更地としての売却のどちらが
最有効使用(価格が高い)か築浅、リフォーム済建物等、建物に価
値がある場合、一般消費者向け販売が最有効使用になります。
建物が使えそうな場合でも税制特例使用等で更地にする場合は、戸
建てを新築する一般消費者か不動産会社が土地の最有効使用ができ
る当事者となり、これらが有力な買主候補になります。

・建物が古くリフォーム費用と取壊し費用に大差がない場合
建物を取壊して新築を建てる土地として売却したほうが高値で売れる
ケースになります。住居として人気の高いエリアであれば一般消費者
が土地から購入もありますが、多くは戸建業者が建物を新築して販売
する土地としての売却の可能性が高いと思われます。

・1区画での使用か、2区画割りしての使用のどちらが最有効使用
(価格が高いか)か?

売却対象地の面積が大きい場合、2区画に分割した戸建敷地として使
用できる場合があり、この場合は1区画として大きな土地を購入する
層よりは区画割り後の土地の方が購入者層が増えるため、不動産会社
よる分譲を前提とした売却の方が高値が出る場合が多いです。

・対象地が商業地、近隣商業地等、中心市街地にある場合
住宅以外の用途が考えられる場合、事務所、店舗等の敷地としての使
用が最有効使用の場合があります。
この場合の売却先選定のターゲットは事務所、店舗の開発事業者等に
なります。地域的に容積率が200%以上ある場合は一体敷地として共
同住宅が建てられる場合、使用可能な床面積が増えるので、土地代が
伸びる場合があります。(最有効使用は賃貸住宅としての敷地)

以 上