株式会社デューデリ&ディールの運営する不動産オークションに、オークション理論の学知を導入した売買方式AL-Lオークション(オールオークション)を2020年2月より実装する。
AL-Lオークションは、医師が個々の患者に最適な治療方針を探す手順書のようなもので、個々の物件に最適な売買方式を探す一連の手順を与えます。その設計は、近年の進展が目覚しいオークション理論の学知と、実務の経験に基づいています。なお、AL-LはAuction Lab Licensedの略称です。
AL-Lオークションの設計には、オークション理論の第一人者である慶應義塾大学経済学部・坂井豊貴教授がコミットしています。坂井氏はデューデリ&ディールのチーフエコノミストでもあり、不動産オークションの実務に長年携わる同社のメンバーと、Auction Labを運営しています。AL-Lオークションは学知と実務が融合した成果です。
不動産の売買は、しばしば不動産業者の相場観と経験に頼りがちです。不動産業者の相場観と経験は、それ自体は貴重なものですが、顧客からの「なぜこの物件はその売り方なのか」「なぜその値段なのか」といった問いに、必ずしも上手く答えられるわけではありません。AL-Lオークションの仕組みは理論と実験に基づいており、顧客からの「なぜ」に対して、言語化した説明ができます。説明責任を果たし、顧客満足を高める売却手法が提案できるようになります。
公正で透明な価格形成メカニズムの応用のために“マーケット デザイン ラボ”を創設
ダイナミックプライシングやフリマアプリの普及にともない、適正な価格設定の仕方に注目が集まっています。不動産分野でも今後は、売り手の一方的な値付けだけではなく、買い手が価格競争をするオークションへのニーズが高まるものと思われます。不明瞭な価格設定から、公正で透明な価格メカニズムへの移行です。デューデリ&ディール内には、マーケットデザインラボという研究組織があり、ここで適切な価格メカニズムの設計や検証をしています。
GAFAなど近年の主要なIT企業も応用するメカニズムデザイン/マーケットデザイン
膨大な消費者行動データを解析しマーケティングに活用するIT企業では、経済学者による高度で緻密な分析が不可欠となっています。Googleの広告オークションを開発した同社のチーフエコノミストであるハル・バリアンもカリフォルニア大学バークレー校経済学の名誉教授です。シリコンバレーに近接するスタンフォード大学には、この分野でトップクラスの研究者が集まっています。日本にはそのようなコラボレーション体制が確立しておらず、AL-Lオークションの取り組みはきわめて先駆的なものです。
複数回のノーベル経済学賞の対象となるオークション理論
オークション理論は1961年に、ウィリアム・ヴィックリー(96年ノーベル経済学賞)により創始されました。90年代にアメリカでの実用が花開き、現在は各国政府や諸企業で活用されています。周波数免許や国債、オンライン広告枠のオークション設計では、とりわけこの学問が活躍しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000052060.html