2020.06.24 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第21回【不動産投資家調査レポート(日本不動産研究所)および特別アンケート_新型コロナウイルス感染症の拡大が不動産投資市場に及ぼす影響について】

 日本不動産研究所が毎年4月と10月時点に公開する「不動産投資家調査」を題材に、コロナ後の不動産価格動向についてコメントを
して参ります。
 今年の4月分は、ちょうどコロナ禍の最中でもあり、「新型コロナウイルス感染症の拡大が不動産投資市場に及ぼす影響について」の
特別アンケートが通常の投資家調査レポートと合わせて公開されています。今回は、こちらの集計も参照してみました。

●日本不動産研究所のサイト  https://www.reinet.or.jp/?page_id=172
 ※投資家調査の前提:150社前後の不動産投資関連企業(銀行、生保、大手不動産会社、外資系投資銀行等)から物件種別毎、エリア毎
  の不動産投資利回り、不動産価格の今後の動向予測をアンケート形式で回収し、集計した数値の中央値が公開されています。

①不動産価格は価格変動の山、谷のあるマーケットサイクルの頂点あたりと見ている投資家が6か月前の調査時点よりやや減って、相場の
 天井から下落に向かい始めたと見る投資家が増えだした。(東京で9%増、大阪は11%増となった。)

【弊社コメント:先行き良い材料は今は見えず、金融機関の融資スタンスも緩くはないが、「明らかに不動産価格が下がっている」と
 いえる現象は民泊等一部の物件にしか見えない。】

②6か月後の見込みについては、縮小期に入る、と見ている投資家が昨年10月のレポートから約30%程度と急増している。ここ数年は相場
 が天井にあるとの回答が最も多く、縮小期にあるとの回答は一桁%台であったが、コロナの影響で今後の市況の先行きについては弱気に
 なっている。

【弊社コメント:特別アンケートで「都心商業施設」、「宿泊施設」の市況の反転回復までにかかる期間は1年程度と見ている投資家が大勢を
 占め、半年程度の期間で回復すると見られている「住居系物件」、「物流施設」等も含めると、コロナ禍が落ち着けば、長期的には暴落と
 言う程、相場が下がらない可能性もある。一部の当事者を除き、物件を投げ売りする状況でもないと見る。】

③特別アンケ―トにおいて、「ネガティブな影響がかなりある」との回答が多かったのは「都心商業施設」、「ビジネスホテル」、「シティ
 ホテル」等の人の密集施設であり、一方で「ネガティブな影響はあまりない」との回答が多かったのは「レジデンシャル」、「物流施設」、
 「ヘルスケア」等、人の密集はなく、また生活に欠かせない施設等であった。
 
【弊社コメント:土地仕入等で価格の過熱感のあった宿泊施設用地の価格は下がると見込まれるが、他用途での活用による土地価格が下支え
 となる。投資物件としての宿泊施設の利回りは上昇(価格は下落)と見込まれ、物件の淘汰はあるものの観光需要の回復により落ち着きを
 取り戻すものと見込む。】

【全般的な弊社コメント:全業種に渡り悪影響を及ぼしたコロナ禍の長期的な悪影響がどこまで残るかで不動産相場もカテゴリーを問わず
 下がる可能性は残るも、経済市況の回復により、不動産価格の変化は短期的なものに留まる可能性もある。】