2020.03.25 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第18回【築年の古い木造長屋等の売却について②】

 先月に続き、築年の古い木造長屋等の売却に関する事例をご紹介します。
 今回は、入居者に退去頂いた後に売却する事例です。本件事例は売却のプロセスは割愛させていただき、本格的な売却活動に入る前の入居者の
退去が完了した時までのプロセスの紹介になります。

【売却の前提】
 対象物件は相続で取得した木造の連棟長屋3軒。相続人は現存する木造長屋の賃貸経営の継続意向はなく、またその土地建物を将来活用したい
との意向もないため弊社への売却依頼となった。
 相続人は喫緊の資金需要が無く、すぐに売却しないといけない事情がなかったため、時間をかけてでも入居者に退去してもらってから売却する
ほうが高値で売却ができる旨を説明し、売却活動の前にまずその準備をすることにしました。

 対象物件は3軒とも入居中で、当事者は、常習的な家賃滞納者(Aさん)、老婦人1人で居住中(Bさん)、老夫婦2人(Cさん)で居住中、の
三者。管理会社にも協力頂き、以下の通り対応しました。

【入居者退去までの流れ】
① Aさん
意図的に家賃を滞納する方ではなかったものの、長期的に遅れがちで相続時には2か月分の滞納がありました。この方には長い目で滞納を解消す
る方向で少しずつ穴埋めしてもらうことができたかもしれませんが、弁護士とも協議の上、所有者意向として家賃滞納により退去してもらいたい
旨を管理会社から伝え、引越し代等の実費を所有者が負担することで相続後2か月後に退去頂きました。

② Bさん
所有者の意向を踏まえ、管理会社からBさん、Cさんには「建物が古く老朽化が激しいことからゆくゆくは取壊しをしたいので引越しをお願いした
い」旨の連絡をしてもらい、Bさん、Cさんには賃貸仲介会社の紹介、引越し業者の斡旋をお伝えしました。Bさんはご子息等に相談され、ご子息
の近くの賃貸住宅への引っ越しを決断され、結果として相続後5か月後に退去頂くことができました。

③ Cさん
Cさんご夫婦は対象物件に長年お住まいでしたがご高齢で、ご主人は介護施設に入られ、奥様もお一人では日常生活に支障が出始めていたため、
管理会社でご子息等と協議いただき、ご子息を連帯保証人としてご子息の近くの賃貸住宅にお引越し頂きました。こちらはご子息を巻き込んでの
協議が長引いたことから相続後約9か月後での退去となりました。

当事者には相続人の意向を当初から明確にお伝えしたことと、所有者にて引越し代、賃貸仲介手数料等の費用負担をして入居者が気持ちよく退去
いただけるよう便宜は図りましたが、時間をかけることにより、多額の立退き費用が発生したりトラブルに発展することなく完了することができ
ました。