2020.05.26 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第20回【底地の取引事例】

 今年の年初に相続で承継した底地の売却のお手伝いをさせて頂く機会がありました。
 建物所有者が土地所有者と別人(借地権者)で、更に建物を賃借する借家人が存在すると、権利関係が複雑になり売却価格が抑えられる要因に
なります。そのため購入により権利関係が整理できる借地権者への売却が土地所有者にとって最も有利な売却先となる可能性は高いです。
 今回は、底地売却の場合の借地権者との交渉の事例をご紹介させていただきます。

★事例
・神戸市内の住宅地域内の土地。
・対象地上には土地所有者とは別人が所有する建物が存在し、建物所有者より毎月地代を徴収していた。
・建物所有者は不動産業者で建物は賃貸中であった。将来の底地買取を目的に建物を継続所有していた。

【今回の取組概要】
・対象の土地上には権利者の異なる建物が存在する為、底地での売却となった。
・対象地エリアは閑静な住宅地で利便性も良好であるが、土地購入後に単独で建物の解体・建築行為が出来ない為、一般顧客が購入する事は想定
 しづらい。その為、本物件の購入者のターゲットは権利付物件(底地や借地権)の購入を得意とする不動産業者、又は土地上の建物を所有する
 借地人が想定された。
・土地所有者へは借地人への売却想定価格(土地の更地価格から借地権割合等を控除した金額)、及び権利付不動産を得意とする業者への売却想定
 価格を査定額としてレンジで提示。
・売却条件としては実測、地積更正登記は売主負担、土地(地下含む)の瑕疵担保責任は売主免責とした。

【売却に至るまでの活動プロセス】
・神戸市内を中心に権利付物件の買取実績がある事業者30社をリストアップし、弊社が直接の紹介活動を行った。買取の意向を示す先もあったが、
 流動性の低さから価格は相続税評価額を大幅に下回る。
・一方、借地権付建物を所有する不動産業者とも個別の折衝を図った。従前の予想通り、この不動産業者は土地所有者から底地の買取を打診される
 事を待っていた様子(土地・建物の権利者となった後、戸建業者等へ転売)が伺えた。
・借地権付建物を保有する不動産業者に対し、当該土地の理論値(現在の地代が長年値上げも無く、相場より安い点、周辺の土地の売買価格相場や、
 建物が古く、実質的に価値は無い点を総合的に勘案)を基にした価格を提示。
・借地人は自身が購入出来ると想定していた価格よりも当社提示価格が大幅に高い、との一次回答であったが、当社提示価格程度での土地購入後に、
 土地・建物を戸建業者へ転売した場合に一定の利益を確保出来る目途が立った事から、最終的には納得頂いた。土地所有者にとっても、結果的に
 は相続税評価に近い金額にて売却が可能となり、成約に至ったもの。
 (権利付き物件の買取業者の買取値の最高額は、本件成約金額の約60%であったことから、借地人との相対取引が土地所有者にとって最善の結果
 となった。)