2020.02.25 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第17回【築年の古い木造長屋等の売却について①】

 築年の古い借家の売却の場合、一棟賃貸マンションと異なり、投資物件としては一部の部屋しか入居していない、空き部屋が目立つなど
収益性に問題があるケースが多くみられます。
 このような物件を相続された際に弊社では「現状での売却」、「時間をかけて退去を待ってから売却」など、依頼者の状況に合わせて
ご提案しています。今回は現状有姿で売却したケースをご案内します。

【売却の前提】
 対象物件は相続で取得した木造の店舗兼住宅2軒。1軒は空家、もう1軒は理髪店が昔から住居兼用で賃借していた。建物は戦後間もなく
 建てられた連棟の長屋であり、1軒だけ切り離しての売却は困難と考えられた。また入居中の理髪店の現行賃料は戦後から一度しか改定さ
 れておらず、近隣相場より相当安価であったことから自己での立退き交渉は難航が予想された。これらより依頼者は時間をかけての立退き
 交渉を望まず、現状有姿での売却となった。

【売却プロセス】
① 物件調査、査定時の着眼点
 市街地の住宅密集地で一部の境界標が無い状態であったが、目視でも隣接地建物が本建物と一部接続し、屋根やベランダの一部が本件土地
 へ越境していたため、後々のトラブル回避のために写真や近隣ヒアリングにより可視化を行う事とした。

② 売却ターゲットは以下の住宅としての活用先と分析し、依頼者にターゲット先を説明。
 「建物の再利用」の場合、空家はリノベーションして再利用、理髪店の居付の利回り物件となる
 「新築建替」の場合、理髪店の立退き後の解体を前提に、新築戸建分譲3区画の開発素地となる

③ 売却先へのプロセス
・弊社独自の市場調査によりリノベーション業者及び、自社での立退き交渉後開発を専門に行う不動産業者20社リストアップし、直接アプ
 ローチを開始。
 「賃貸借契約書がない為、立退きリスクが予想不能(このような物件は銀行融資が付かない。)」
 「理髪店の立退き相場は売上と関係なく高額となるケースがある」
 「建物の切離しは可能ではあるが、お互いが老朽化しており、工事費が買取価格に影響する。」
 等の問題をクリアした前向き検討先4社を見極め、入居中の理髪店へのコンタクトは控えながら、個別に空き家の内見を実施。現地状況の
 理解と、解体、建築の手法、リスクの検証を一緒に行い、トラブル回避と、買取価格の検証を各社に依頼。
・高い価格提示が出来そうな先、理髪店の意向次第で現状維持も容認できるとする先、が混在したため、4社の購入申込の内容を見て総合的
 な判断で売却先を決定することを前提に入札を実施した。

 入札の結果、地元の戸建分譲業社が価格トップ、かつ借家人の賃借継続の意向があれば、しばらく保有しておく計画とのことで、売主に
とっても望ましい結果となりました。