近年、新築マンションをはじめとする住宅価格の上昇が続く中、築年数の古いマンションにも改めて注目が集まっています。
例えば、旧耐震基準で建築された老朽化した区分マンションの一室。築年数だけを見ると、売却は難しいようにも思えます。しかし、駅から近い、生活利便性が高いなど、立地に優れた物件であれば、購入意欲を持つ不動産事業者は少なくありません。
こうした物件で一つポイントとなるのが、室内の状態です。
長期間にわたり設備や内装の修繕が行われていない場合、購入後に買主自身で設備交換や内装工事を行う必要があります。一般のエンドユーザーにとっては、購入後のリフォーム費用や完成後の室内を具体的にイメージすることが難しく、購入判断のハードルになりやすい面があります。
一方、リノベーション再販を行う不動産事業者であれば、購入後に室内を一新することを前提としているため、築年数が古くても、立地や専有面積、間取りなどに魅力があれば、事業用不動産として評価できる場合があります。
さらに、近年は新築マンション等の価格上昇を背景に、「築年数は古くても、立地が良く、室内がきれいにリノベーションされたマンション」を選択肢とする購入者も一定数存在します。新築に比べて価格を抑えながら、内装や設備は新築に近い状態で購入できることが、その理由の一つです。
つまり、築古マンションの売却では、「築年数が古いから売れない」と一律に判断するのではなく、「この物件を必要とする買主は誰なのか」という視点が重要になります。
特に立地に優れた物件であれば、一般の購入者だけでなく、リノベーション再販事業者など複数の買主候補が存在する可能性があります。こうした複数の購入希望者を競わせることで、通常の相対取引よりも高い価格での売却を目指せるケースもあります。
相続等で取得したマンションを売却する際には、単に築年数や現在の室内状態だけで判断するのではなく、「立地」「リノベーションによる再生可能性」「想定される買主」を踏まえて売却方法を検討することが、より重要になっていると言えそうです。
(執筆者)デューデリ&ディール 藤原 友也