思いのほか手がかかる 相続空き家の売却(①売却準備の問題)
相続に関連した売却相談の中で、最近、頻発する事例は「相続した実家(空家)の売却」です。
核家族化が進んだ結果、昔、相続人方が住んでいた実家は、ご両親がお亡くなりになった
時には相続人は別のところで家庭を構えていて元の実家に戻ることはないから売却、との構図です。
単に中古住宅の売却と言えることもあれば、もう少し売却の前提が複雑なケースもありますので、
弊社で取扱った事例の中から留意点を列挙してみます。「①売却準備の問題」と「②売却方法、
価格に関する考え方」の2つの観点がありますので、今月、来月と2回に分けてご案内いたします。
・一般的に物を捨てられない方が多いため、相続後、室内に様々な物品が多数残っていることが多く、
こちらを自分で整理するか、業者に依頼して処分してもらうか、という悩ましい問題があります。
・弊社ではまず「換価価値のあるもの」と「思い出の品」等の仕分けをお勧めしています。
・残置物が多いと、身内だけで処分をするには労力がかかりすぎるのと、それなりの廃棄物処理費が
かかるため、自力で処分したとしても大幅なコスト削減とはならないことがよくあります。
・古物に換金価値があったり、遺言等の重要書類を探したり、物品の仕分けをする等を要する場合は
廃棄処分するだけで
はなく、古物商等の専門業者に追加で依頼する必要もあります。
・古物で出てきた刀の銃砲刀剣類の許可証の再交付(都道府県教育委員会)の手続きをしたこともあ
ります。
・仏壇を処分するため、魂抜きの手続きを要する場合もあります。(宗派によっては僧侶などの手配に
時間がかかる場合も)
・建物の築年が古い場合、売主で取壊しを行うか、買主に売買代金で調整することを前提に取壊し等の
対応を委ねるか、という問題があります。相続人方に特にこだわりが無ければ、弊社は買主に金額調整
して対応頂くことをお勧めしますが、空家の税制特例(「売却方法」での翌月の投稿で詳述します。)の
適用を考える場合には売主で取壊し、滅失登記まで行う必要があります。
・売却対象敷地が広い場合、庭木、雑草等が繁殖する場合があり、夏場にこれを放置しておくと、近隣
から苦情が出るため最低でも草刈り等の対応が必要にな
ります。
・区画分譲地等の住宅地であれば、過去の地積測量図等があれば、新たに境界確定、実測を行う必要は
ありませんが、たいていの場合、長年お住まいであれば境界確定、実測は未了のケースがほとんどです。
売却を進めるに先立って境界確定、実測は先に依頼をされることをお勧めいたします。
これが無いと買主がリスク
分の価格減額を求めてきたり、購入の絶対条件として要望してくることがあるためです。またこの作業は
最低でも3か月程度の時間がかかるため早めの着手が望まれます。
以下、次月へ続く