「埋蔵文化財包蔵地(以下、「包蔵地」)」とは、地中に遺跡などが埋まっている可能性のある土地のことです。では、売却予定地が包蔵地だったらどんな影響が・・・?簡単な流れを以下で解説いたします。
(1)確認
まず、市区町村の教育委員会にて対象地が包蔵地に該当するかどうかを確認できます。現在はWEBでも確認できるところが増えています(例:東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス)。
具体的には、次のようなものが埋まっている可能性があります。
• 縄文・弥生時代の住居跡
• 古墳
• 貝塚
• 城跡
• 寺院跡
• 土器、石器、瓦、金属製品などの遺物
(2)試掘
売却予定地が包蔵地に該当している場合、売買契約後、買主による事業計画図面(建売住宅、アパート建築等)をもって教育委員会へ相談・届出を行い、「どこに何を建てるか」に基づいて試掘(試し掘り)の要否が判断されます。(※遺跡の重要度や近隣の調査実績等により、試掘を行わず、調査員による現地立会のみで完了する場合もあります。)
教育委員会で試掘実施の判断がなされると、主に計画建物が建つ位置や、造成に伴う道路引き込み工事の位置など、地面を深く掘る可能性のある箇所を重点的に試掘調査します。
気になる費用面ですが、試掘費用は行政負担となるケースが多いようです(詳細は各教育委員会にご確認いただくことをお勧めします)。
(3)本掘
試掘により重要な遺跡が確認された場合、本発掘調査(以下、「本掘」)が準備されることになります。 ここでの費用は、売買契約において「本発掘調査費用は売主負担」という条件記載がある場合、売主である土地所有者が負担することになります。
(参考:2026年6月、関東圏のとある教育委員会からは、概算で1㎡あたり約10万円との口頭回答あり)
例えば1,000㎡の土地を8,000万円で売買契約していたとして、もし500㎡本掘することになると・・・8,000万 -(本掘費用負担)▲5,000万円 = 3,000万円!?
もし、1,000㎡全域が本掘の対象となると・・・マイナス??
ただし、本掘をする範囲が土地全域にあたるかというとそういうわけではありません。本掘の実施箇所は、「埋蔵文化財が壊される恐れのある箇所」に該当します。
工事などで掘る深さが、埋蔵文化財の存する深さよりも30~50cm高ければ、重要な埋蔵文化財は「保存」されることとなり、本掘の必要はなくなります。計画図上、深く掘ることになる「引き込み道路」「建物の基礎」の高さと遺跡の高さが干渉する箇所を本掘することになりますので、対象面積・費用は限られることになります。
また、買主の協力を得て盛土等によって計画地盤面を上げることで、浅い位置にある埋蔵文化財を保存し、本掘を回避することも可能になります。
教育委員会で本掘の判断がなされた場合、買主側の計画についてもしっかりと協力(計画変更)を仰ぐことが肝要になります。
(4)影響
費用面の負担はもちろん、売買代金取得の時期も大きく影響を受けることになります。本掘の範囲・面積によって調査期間も3か月~1年などかかり、調査終了までは取引が完了せず、売買代金を取得できなくなります。
相続税納税目的の売却の場合には、納期限までの現金化が間に合わなくなるリスクが生じますので、注意が必要です。
ちなみに、地中から「徳川の埋蔵金」が出土したら、誰のもの?
・・・自分の土地から出土したとしても埋蔵文化財に該当するため、遺失物のように所有者不明のまま自分のものにできるわけではなさそうです。
(執筆者)デューデリ&ディール 風間 輝幸