2019.09.26 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第12回【家族信託(実例①)】

昨今、司法書士のセミナーや勉強会で家族信託がよく紹介されています。
認知症対策で、成年後見制度に代わるものとしての活用が紹介されており、うまく使えば大変役に立つ制度だと見ております。

ただ、家族信託を使うには以下の暗黙の前提があり、これらが整っていないと使いづらいです。

①受託能力(他人の財産をきちんと管理する能力)のある方が身内に存在する。
 →専門家でもいいのですが、コストがかかります。
②相続人予定者が信託に対して理解がある。
 →家族仲がよくない場合等は、特定の方が受託者となることで疑念を生じさせる可能性があります。
③委託者兼受益者死亡時の相続の財産配分について配慮がされている。
 →相続時、遺留分に対する配慮を欠いた財産移転をすると信託自体が否認される可能性があります。

実際、弊社で関与した具体的な事例を今月、来月の2回に分けてご紹介したいと思います。
今月分は、身内だけで家族信託の関係者を完結させる、比較的簡単な事例です。

(信託提案の成功例:A家族)
・急速に意思能力が減退している方の奥様からのご相談で、奥様がご主人名義の自宅と一部預金を受託
・将来、自宅を売却して、規模の小さいマンション等への買替、賃貸住宅への住替えを奥様の権限で進められるように設計。
 (息子3名が成人し、使い勝手が良くない広い自宅が不要となりつつあり。)
・ただし、相続人予定者の息子さん3人には、弁護士の指示で将来の相続で揉めないよう、信託契約書に立会人として全員
 ご調印を頂きました。
・受託者の奥様が万一、先に亡くなった場合の承継者を長男と設定、受益者代理人を次男と設定し、息子さん達も契約当事
 者として関与いただくとともに、受託者への監督機能も付与致しました。
・ご主人の死亡により信託終了とし、遺産の配分は将来の分割協議となるため、③は問題とならず。
・弁護士、司法書士、弊社による協働で短期間でスキーム設計し、信託設定まで完了させました。

(信託提案の失敗例:B家族)
・亡父から、存命の実母と1/2ずつの共有で土地の相続を受けた息子さんから相談を受けた事例。
・亡父は生前から別居していた実母の持ち分は実母死亡時に息子に相続させることを希望していた。
・実母の共有持分を息子さんが受託することで、不動産の管理窓口を一元化するとともに、実母死亡時に息子さんに受益権
 を移転させて完全所有権を息子さんが取得するように設計すると、受益者連続型信託の最適なケースとなる旨、息子さん
 に提案。(もう1人の相続人の姉と共有としない設計)
・息子さんから母親に信託設定を提案いただくも、「受益者として実質変わらないとは言え、やはり登記名義を変えるのは
 抵抗がある」とのことで信託設定まではできず、共有のままでの所有となった。
・本件、提案段階でとん挫したため、士業と一緒に詳細スキーム検討までには至らず。