今回は、関西方面の某地方都市で土地区画整理事業地内の土地を相続された方の売却事例をご紹介したいと思います。
【相続対象地の特定】
・相続人をご紹介いただいた税理士さんから案内の謄本、公図、住宅地図では場所が特定できず。
(相続人の方々も住宅地図上で「このあたりだと思う」くらいしか把握しておられませんでした。)
・現地を実査すると元々、田だった周辺一帯が造成されており、道路、インフラ整備までされていた。
・区画割りされた分譲地の一部に「区画整理組合保留地」の看板が立っていたので、区画整理事業地内の土地だと判明。
・現地実査後、土地区画整理事業地内の従前地(登記簿記載)から、仮換地がどこに指定されているかの確認に着手しました。
・謄本上は従前地の地番、地積が表示されていますが、実際の使用収益ができる土地(=売却対象地)である仮換地の面積はこれと異なるため、該当の市役所で仮換地の位置、面積等の資料を収集しました。
(相続人さんが「仮換地指定証書」と添付の図面を紛失されていたため、弊社が代理で再発行してもらい、仮換地の対象地の位置、面積等を確認しました。)
【売却完了まで活動内容】
・土地区画整理法第99条により仮換地指定の効力発生日以降は、従前地(登記簿記載)ではなく仮換地が売買対象となるため、仮換地を特定した上で売却活動を開始しました。
・売却先決定後の所有権移転登記は、従前地の登記について移転登記をします。土地区画整理事業が完了するまでは従前地の登記で権利移動を表しますが、買主が実際に使用する場所は仮換地になります。
・仮換地が確定的に換地となるのは換地広告の終了時以降ですが、本件については、土地区画整理事業地の範囲が広く、事業の終了予定が数年先とのことであり、仮換地のままでの売却となりました。
【仮換地の売買に当たって特有の留意点】
本件での周辺一帯の仮換地の所有者(土地区画整地事業組合の組合構成員)は、将来にわたって
「賦課金」、「清算金」に関する権利義務を有するため、売買時には買主にこの権利義務を承継する必要がありました。
売主の相続人さんからすると、土地区画整理事業が最終的にどのような収支状況で終了するかわかりませんが、仮換地の所有者が後々に精算金の支払い義務(事業収支が赤字の場合は追加で支払いが発生する可能性)を負う可能性が残るので、買主さんに将来負担いただくことで了解を頂きました。