不動産売却時の売却価格と想定売却先の見通し②
前月に続き、今月は「収益物件(投資用賃貸マンション等)」と「特殊性の強い土地等」の売却価格と売却
先の見通しの分析について紹介をして参ります。
【収益物件(賃貸中の一棟の共同住宅等)】
・先代が相続対策で融資を受けて建てた共同住宅や、
相続税評価上の評価減を受けるために購入した投資用
不動産等、「収益性(投資採算性)」で不動産評価が
決まる物件のケースです。
収益物件の場合、①(事前の整理)、②(売却ターゲット)、③(査定額)は以下のようになります。
①収益価格の査定に必要な
「建物の種別、構造、築年」
「建物図面(間取り図を含む)」
「収入項目一覧(賃貸借一覧)」
「支出一覧(固都税、管理費、保険料、修繕費、水道光熱費等)」
「建築確認済証、検査済証」
「サブリース契約(該当の場合)」の資料の収集と収支の分析
②売却ターゲットは投資家になりますが、投資家の属性は様々です。
・投資物件を保有する不動産会社
・個人投資家等へ転売する卸売業者
・個人不動産投資家(サラリーマン投資家等)
・賃貸事業が主業の不動産賃貸会社
・事業法人で不動産投資を副業としてやっている会社、等々が挙げられます。
③査定額は同種(地域、属性)の物件との比較による投資利回りから逆算
する「収益価格」になります。
ただし、収益価格の投資利回りの見積りにより評価額に大きな差が出ます。
投資利回りは物件の種別(RC造、S造、木造等の区別)や築後の経過年数
による銀行融資の受けやすさ、による影響を受けやすく、融資の受け難い物件
は投資利回りが上がる(売却金額は下落する)大きな要因となります。
【特殊性の強い土地(面積の大きな土地、道路付けの悪い土地、農地)等】
・地主さんの相続でよく見るケースが
「面積が大きいが道路付が悪い(又は無接道)」
「字形が変形」、「農地」、「昔ながらの連棟長屋が建っている貸家、底地等、
権利関係が複雑な不動産」等です。
これらの不動産の場合、①~③は以下のようになります。
①地域の土地相場はそのまま査定額の答えにはならず、使用に制約があること
から生じる減額要因 を十分に分析する必要があります。(建物が建てられる
接道があるか?、土地が大きい場合、開発許可申請が通る条件が整っているか?、
複雑な権利関係を整理するのにかかるコストの見通し等)
②土地の加工(造成、開発、権利関係の整理等)はこれらの取扱いができる
不動産会社が買主ターゲットとなりますが、不動産開発(権利関係の整理)
を得意とする不動産会社さんは限られます。
③査定額は、造成後の土地売却価格から「開発許可申請手続き費用」、「造成費」、
「販売諸経費」、「開発業者の期待利益」等を控除した金額となります
(開発法による土地査定額)。
上記2つの物件属性の場合、査定額は売却額の目安とはなりますが、実際の買主
候補による購入希望金額は買主の期待利回りや、買主の物件加工、販売力等により
差異が出てきます。
弊社が不動産オークションをお勧めする理由は、「個別物件に高い評価を付けられ
る買主候補を探し」かつ「バラつきのある購入希望額の中から最高値を引き出す
(見つけ出す)」ことにあります。