2021.09.29 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第36回【不動産売却時の売却価格と想定売却先の見通し①】

不動産売却時の売却価格と想定売却先の見通し①

相続がらみで不動産を売却する場合

弊社は、お付き合いのある税理士事務所から、「相続対策のため」
または「相続発生後の納税資金確保のため」等で不動産売却のニ
ーズのある顧客の紹介を頂くことが頻繁にあります。

不動産売却の際に弊社がまずお伝えしているのが、

①売却に当たって事前に整理しておくべきこと

②どのような先への売却が望ましいか(高値売却の為)

③査定額(事例等による目途価格です。)

になります。
顧客の皆様は③の査定額だけに目が行きがちですが、不動産は
個別性、特殊性の高い資産のため①、②の分析は不可欠です。
特に②は重要で、不動産鑑定評価においては、査定の前にまず
「最有効使用(=ある不動産の効用が最高に発揮される可能性
に最も富む使用方法)」の判定を行う
くらいです。

今月と来月で各種別の不動産の具体的な分析フローと査定の考
え方を簡単に紹介したいと思います。

【相続空家1(相続人さんが過去に住んでいた実家)】

・相続発生で入居者不在となる空家の売却ニーズが昨今多いです。
この場合、築後40年以上経っており、使用はまだ可能な状態でも
中古住宅としての流通性が乏しいケースが過半を占めていると思
われます。
この場合、①~③の例としては以下のようになります。

①中古建物として商品性があるか否か、土地面積が区画割りできる
ほど大きい敷地か否か

②これらの区別により望ましい売却先(高値売却が期待できる買主
属性はどのような先になるか?)

→例:中古住宅として二次使用者への売却/更地化して新築住宅
用地として売却/開発事業者へ売却

③査定額は、②の例の場合だと以下のようになり、どのケースが
高値と予想されるかで売却方法が変わります。

・相場からリフォーム代等を控除する等、中古物件を買う二次使
用者が妥当と考える金額
・更地化する場合、土地相場から取壊し費用を控除した金額
・開発事業者が区画割りして採算の合う土地購入価格から取壊し
費用を控除した金額

【相続空家2(区分所有マンションの専有部分1室、築浅の中古戸建)】

・一般家庭の相続で、相続空家1の次に見られる2のケースは、
マンション1室、新築からまだそれほど日が経過しておらずまだ
十分に使える築浅の戸建のケースです。
この場合、現状有姿での売却が高値であることが多く、①~③
の例としては以下のようになります。

①現状有姿の建物をそのまま使えるか、リフォーム等何らかの
手を加える必要があるか

②建物は現状有姿での売却とすると、立地、建物に応じた売却
先(二次使用者の属性)

→例:建物の面積が大きくない場合、DINKSになるか、駅前
タワマンの場合、富裕層の高齢者等

③査定額は、既存の建物そのまま売却の場合、同種の物件の売
買事例、または土地価格+建物価格で概ね決まるため、取引事
例比較法、原価法(積算価格)で算定される金額となり、これら
の金額は参照するデータが多いことから査定会社により大きな
差異が出ることは少ないでしょう。

翌月に続く