2019.07.29 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第10回【不動産投資家調査(日本不動産研究所)②】

 先月に続き、日本不動産研究所が毎年4月と10月時点で一般公開している「不動産投資家調査」を査定実務に活用している例を
ご紹介いたします。

 弊社が収益物件の価格査定を行う際に採用する資料として
①近隣の同種別の物件の取引利回り
②金融機関が担保評価する際の利回り(融資検討の金融機関へのヒアリング)
③近隣地域および、収益物件取引に精通する不動産仲介者へのヒアリング
④上場REITの公開資料から、類似地域の同種別物件取得時利回り(成約事例)、
 保有期間中の決算時時価評価のための鑑定評価における採用利回り
⑤不動産投資家調査での期待利回り(気配値)
等があります。

実際は
・①、④は、評価対象物件に適合した資料が取れないことがよくある。
・③は利回り相場を感覚的に掴むには非常に役に立つのですが、これだけだと説明力不足。
・②は担保評価なので、下支えとしての利回りとみておいた方が良い。
とそれぞれ不足な点があり、重宝しているのが⑤です。

 ⑤は150社前後の不動産投資関連企業から物件種別毎、エリア毎の不動産投資利回り予測をアンケート形式で回収し、集計した
数値の中央値として公開されています。

一般財団法人 日本不動産研究所のサイト

 ここでは、期待利回りが以下の区分けで細分類され、分類毎に利回り設定がされています。
・収益物件の種別毎(事務所ビル/商業店舗/共同住宅/物流・倉庫/宿泊特化型ホテル)
・物件が存する地域毎(首都圏、その他大都市等、採用地点数が異なります。)

 エリアの分類は、首都圏以外「地域」レベルでの設定なので、「その地域」での標準的な利回りに物件の個別性(規模、築年数、
駅距離、遵法性の有無、その他)に応じたリスクプレミアムを加算する必要がありますが、査定エリアを幅広くカバーできること
と、利回りの構成要素を明示できることからも説明力が高いと考えています。

 実際は①~⑤を総合的に勘案して査定いたしますが、⑤による説明は必ず入れています。