【公示価格から見る住宅地の価格動向(東京、大阪)】
3月18日に2020年の1月1日時点の公示地価が発表されました。
3月19日の日本経済新聞1面によると住宅地の変動率は、東京圏1.4%の上昇(前年1.3%の上昇)
大阪圏は0.4%の上昇(同0.3%の上昇)とありますが、それぞれの地域内でも個別にエリアを見ると昨年比で地価が下がっている
評価地点が少なからずあります。
東京圏、大阪圏でも下落している地域についてフォーカスして見て参ります。
●東京都(2602地点)
①都心23区:全1572地点のうち下落地点はゼロ
②多摩地区(町田市、八王子市、青梅市)
町田市は全51地点で下落箇所は6か所、八王子市は全94地点で下落箇所は7地点、青梅市は全11地点中6地点(3市とも全て住宅地)
他に多摩市、あきる野市、東大和市でそれぞれ1地点ずつあり。八王子市、青梅市はここ5年人口が減少傾向にあり、町田市はほぼ
横ばいですが、都心から遠い市で下落傾向があることが見て取れます。
●大阪府(1715地点)
①大阪市内:全420地点のうち下落ポイントは(此花区、港区、大正区等周辺部の7地点)のみ
②大阪北部(豊中市、吹田市)
豊中市は全70地点で下落箇所はゼロ、吹田市は全70地点中、1地点だけと地価は堅調。
③大阪東部(寝屋川市、守口市)
寝屋川市:全36地点中、24地点で下落しており全て住宅地。
守口市:全27地点中、10地点で下落しており9地点が住宅地。
寝屋川市、守口市とも近年は毎年人口が減少しており、大阪市内の中心地に近い割には地価の下落傾向が顕著に見てとれます。
④大阪南部(岸和田、泉佐野)
岸和田市:評価地点全50地点中、11地点で下落しており全て住宅地。
泉佐野:評価地点全32地点で横ばいが多く下落地点はゼロ、関西空港の恩恵を受けているようです。
両市とも約10年前に人口のピークがあり、少しずつですが減少傾向にあります。
今回の公示価格では東京都は多摩地区等、都心から遠い市で一部下落が見られる地域がありました。
大阪府では大阪市内と北部で地価の上昇または安定がみられますが、「大和川以南(大阪南部)」の下落傾向よりも、「大阪東部」
の下落傾向の方が顕著に見て取れました。どちらも人口減少の傾向にありますが、大阪南部は低位安定しているためか、今回の調査
では東部よりも下落地点は少なかったと見られます。東部はしばらく地価の減少傾向が続くと見込まれます。