【地価調査価格から見る住宅地、商業地の価格動向(東京、大阪)】
2020年の7月1日時点の都道府県地価調査価格が9月末に発表されました。
コロナ後の地価に関する公的指標の公表であるため、住宅地、商業地の今後の動向を見て行く上で
コロナの影響がどの程度出たか、関心が高いところです。
9月30日の日本経済新聞特集によると住宅地の変動率は、東京都が0.2%の上昇(同前年:2.5%の上昇)
大阪府は0.3%の下落(同0.4%の上昇)と全体的には地価上昇地点が少なくなり、全体としては横ばいか
下落に転じた箇所が多いようです。
商業地の変動率は、東京都が1.3%の上昇(同前年:6.8%の上昇)、大阪府は1.8%の上昇(同8.7%の上昇)
とコロナ禍が大きく影響して地価上昇に急ブレーキがかかっています。
東京都、大阪府での個別の地価の下落地点に着目してみることでもう少し細部の傾向を見てみます。
●東京都(住宅地762地点、商業地459地点)
①住宅地:248地点で下落しています。23区内では大田区田園調布で下落地点があり、練馬区では7地点も
下落地点があるとおり、都心部でも住宅地人気に偏りが出始めています。周辺市では、八王子市を中心
に西部の多数の市で評価地点の過半が下落地点となっており、東京都内でも都心の人気エリアを除くと
住宅地が少しずつ下がっていく傾向が予想されます。
②商業地:87地点で下落しています。23区内では、銀座、新宿周辺等、高度商業地の複数地点で下落が顕著
にみられます。それ以外の下落地点はほぼ住宅地の地価の下落傾向にある市の商業地に集中していました。
●大阪府(住宅地470地点、商業地166地点)
①住宅地:159地点で下落しています。大阪市内では生野区、平野区等東南部に下落地点が多く、周辺市では
岸和田以南の南部、河内長野等の東南部に下落地点が集中しており住宅地の人気エリアが北部に偏ってい
ます。
②商業地:22地点で下落しています。大阪市内では北区の下落地点はありませんが、難波心斎橋周辺は2地点、
他、住吉区、東住吉区、大正区、西淀川区等市内中心部から遠い区部で下落地点が見られます。
周辺市では、北摂のエリアの商業地での下落地点はなく、東部、南部等で下落地点が分散しています。
心斎橋難波等、近年急速に地価が上昇した地点は限られていたため、コロナ後に懸念された地価の下落地点
が顕著に多いわけではないようです。
下落地点全体では、東京、大阪とも高度商業地以外は下落幅が小さい地点が圧倒的に多く、コロナ後の取引数
が減少していることもあり、相場が下落基調に入ったと判断するのはまだ早そうです。