今回は再建築不可(建替ができない)不動産のオークション事例についてご紹介します。
【そもそも再建築不可となる理由とは】
1.対象不動産が道路に間口2m以上接していない
2.対象不動産が「建築基準法上の道路」に接していない
のいずれかに該当した場合、原則建替は出来なくなります。
今回の事例は道路に間口1.8mしか接していないため、1.に該当
【物件属性】
戸建(築:45年、建物面積:95㎡、2階建、最寄駅から徒歩約5分)
【経緯】
父の相続が発生し、取得した実家。
母が高齢のため、実家での暮らしは階段での昇り降り等、負担となる要素が多く、快適で利便性の高いマンションへの引越しを検討。
マンション購入資金を捻出するため、実家の売却を決意。
【問題点】
1.建替要件を満たしていないため、新築戸建等への建替不可
2.築年数経過による床や壁等の室内設備の劣化
3.個人への売却の場合、劣化による「契約不適合責任リスク」を負う可能性大
【対策】
問題点を解消できる購入者は
・特殊性の高い不動産でも購入可能
・契約不適合責任を免責とする(売主の契約不適合責任リスク無し)
の条件をクリアできる「事業者(プロ)」と想定され、「事業者(プロ)」ルートへの営業活動を提案。
【売却へ向けた活動】
活動①(物件精査)
築年数経過物件だが、建物面積が95㎡、駅距離や都心への利便性から、
「リノベーション戸建」の需要が見込まれると分析。
活動②(買主模索)
特殊性の高い不動産を豊富に扱っている約30社へプレ営業。
活動③(売却方法選定)
プレ営業結果から、対象不動産は「オークションの効果を発揮しやすい不動産」と断定。
売却価格の最大化を図るため、「オークションによる売却」を提案。
活動④(オークションに向けて)
プレ営業結果から検討金額の範囲は2,300~2,700万円と判明。
オークション参加者を厳選するため、2,700万円以上でも検討可能なプロを探す。
結果、2700万円以上でも購入意向が強い事業者が5社現れる。
売主へ営業結果を報告し、オークション開催が決定。
活動⑤(オークション開催)
オークションのスタート価格は2,700万円。
当日の10~17時までを入札期間とし、オンライン上で開催。
スタートから15時までは入札数が少なかったものの、15時を過ぎてからは各社激しい入札合戦が始まる。
最後は乱打戦を勝ち抜いた2社の一騎討ちに。
価格は更に競り上がり、終了予定の17時には決着せず延長戦へ。
最終的には17時半まで乱打戦は続き、落札金額は3,200万円!
オークション形式で参加者に競ってもらうことにより、
スタート金額から500万円の積み上げを実現。(18.5%UP)
「建替要件満たしていない=売却は難しい」の先入観を捨て、
物件状況を精査し、物件特性を理解したプロ方面への営業活動を行うことで、
「高値売却の実現」に繋げることが出来た事例でした。