2024.12.25 コラム

第87回 【底地は価格上昇のポテンシャルを秘めている】

今回は、不動産の属性と価格の関係についてご案内したいと思います。

 

建築費の高騰が収まる兆しが見えない中、今年は日銀の利上げの行方が注目されました。不動産市況は地域性と立地条件で大きく左右されます。

 

大都市中心部や都市再開発地域は事業者による土地買収や転売が行われ価格の上昇を目の当たりにすることもある一方、地方や人口減少地域は流動性が感じられず価格の低迷を肌で感じられます。

 

2015年~2024年の間で、弊社(※関西エリア)が不動産オークションを活用して落札された事業用不動産を属性別に集計してみました。

①事業用土地

②底地

③投資用一棟収益

④立退き用ビル・共同ビル

の売却価格の上昇を集計した結果、

 

「査定値から平均落札値が最も上昇した属性」は①事業用土地で、反対に最も査定値から平均落札値が伸びなかったのは②底地でした。

 

一方、「指値の最高値から落札値までが最も上昇した属性」は②底地で、最も伸びなかったのは④立退き用ビル・共同ビルでした。

 

①の上昇要因は事業計画上のリスクが比較的少ないためです。

戸建、マンション用地、老健施設、工場倉庫などの買主の計画する用途によって評価に差が出ることも要因と言えます。

 

②は最も計画性に不安定な要素があり、事業リスクが高いです。

事業主としてはリスクヘッジと再開発時の期待値を両建てで検討されていることから、指値と限界値との差異が最も大きく生じているものと推測されます。

 

④はテナントの立退きリスクはあるものの、予測が立てやすく、金融機関の融資調達可能金額も購入資金の大きな要因となることが上昇率の限界値に関係してくるものと推測されます。

 

いずれの属性でも価格形成には少なからず要因や根拠がありますから、購入検討者の目的と計画によって価格は左右されるものと言えます。

尚、昨今は社会情勢の動向から目的が以前より多様化しているものと考えられており、建築費用の高騰などが不動産市況全体の高騰を継続させている要因の一つと捉えています。

弊社は今後も不動産オークションを活用して高値の見極めを図って参ります。

 

 

*指値・・・購入検討者が申し出た購入できる価格を言います