2021.01.26 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第28回【不動産投資家調査(日本不動産研究所)】

 日本不動産研究所が毎年4月と10月時点に公開する「不動産投資家調査」を題材にコロナ後の不動産価格動向についてコメントをして参ります。
令和2年10月(第43回)はコロナ後の2度目の調査報告となりました。「新型コロナと不動産投資市場」として前回同様の特別アンケートが
通常の投資家調査レポートと合わせて公開されていますので、こちらの件も参照して参ります。

日本不動産研究所のサイト  https://www.reinet.or.jp/?page_id=172
※投資家調査の前提:191社の不動産投資関連企業(銀行、生保、大手不動産会社、外資系投資銀行等)への回答依頼をかけ、うち145社からの
 回答を受けての調査結果となっています。

①不動産市況は価格変動の山、谷のあるマーケットサイクルにおいて下落に向かい始めていると分析している投資家が6か月前の調査時点より
 大幅に増加した。(東京で6か月前比15%増、大阪は同14%増となった。)
 
【解説】
コロナの影響はすぐに解消しそうになく、実体経済へのダメージが続きそうである。金融機関の投資用不動産への融資のスタンスは厳しいが、
金融緩和による投資資金の金余り状況、国による株の買い支えが今でも資産価値を高値圏で維持させる要因となっている。
投資用不動産においても取引が活発とは言いにくいが相場が目に見えて下落してはいないのが現状であるが、将来の見通しは不透明である。

②特別アンケートにおける「新型コロナが収束したと仮定した場合、各アセットの見通し」についての回答はビジネスホテル、シティホテルを
 除くと1年程度の期間で相場の反転回復を予想している投資家が多い。
 
【解説】
市況動向では、半年後の不動産市況を悲観的に見ているアンケート結果である一方で種類別の不動産での相場反転の期間は短いと予想している
投資家が多いことから、相場の下落は一過性のもので、コロナが回復したら相場が戻るとの意見が大勢を占めているように見受けられる。
これらの傾向はコロナ禍の影響の長期化、国による資金繰り支援が縮小に向かった後の影響が予想に織り込まれていない可能性がある。

 
 
【全般的解説】
コロナ禍が発生しておよそ1年経過した。いつ終わるかの合理的な見通しはなく、当初は住宅市況、投資市況が大幅に冷え込むのではないかと懸念
されたが、テレワークに対応する住宅需要が増加したり、投資市況は株高に比例して高値圏が維持されていることから、不動産市況は現状大きく
崩れてはいない。現状は需要と供給がともに縮小してバランスしているため相場の大幅下落に至っていないのではないかと考えられるが、
今後は、相場を支えているファクターである「国の資金繰り支援」、「投資資金の動向」、「金融機関の融資スタンスや回収スタンス」等の変化
により相場の下落要因となりえるため、これらの動向を注視していく必要がある。