2021.02.25 メルマガ

D&Dの不動産メルマガ 第29回【築古の収益物件の売却事例】

 

①売却内容

 相続対策で過去に建築された賃貸マンションを先代から相続を受けた現所有者様がその後も運営管理を継続され、自身の
定年退職後も所有し続けてこられたが、ご子息が賃貸経営を受け継ぐ事が仕事柄困難である事情があり「私の代で処分する」
ことを決断され、弊社が売却活動を受託した。
 

②物件の属性

 大阪府南部の私鉄の駅から徒歩圏内にある5階建の昭和52年築のRC造、共同住宅。
検査済証のある適法物件で、定期建物点検報告、EV点検報告が売主により継続して実施されてきた。
築43年経過しているが、6年前に外壁と屋上防水改修工事も実施されており良好に保たれている。
また近年、空室が出るごとに貸室内のリノベーション工事を行っていることもあり、稼働率は95%を概ね維持されている。
 

③査定時の着眼点

 スルガ銀行の不正融資問題以降、投資用物件に対する金融機関の評価姿勢がやや厳しくなっている傾向にある為、本物件
単体での評価を数行の金融機関に依頼した。耐震基準を満たすエビデンス添付、自己資金2割を要す、共同担保の追加等々の
条件が提示されたため、この点は評価的にマイナスとした。
 築古の物件の属性からすれば高稼働率に多少違和感はもったものの、現地確認・資料の精査等を行いリノベーションの
実績、賃貸条件の改善で新規客を取り込めていることはプラス要因として評価。
 

④売却までのプロセス

・買主候補として「融資検討できる金融機関からの紹介」、「収益物件保有実績のある事業者(地場の先、大阪市内の先)」
 を中心にターゲットを選定。
・弊社作成の物件概要(不動産診断時に詳細の物件調査済)と併せて、直近年6年間の修繕履歴を精査、賃貸借一覧表作成
 時に居室別リノベーション実績、浴室改装実績を明記し、現所有者様がコストをかけて修繕を行ってきたことを買主候補
 に情報開示した。
・買主候補の検討価格、資金調達の実現性等に係る質疑応答を踏まえ、有力候補を数社に絞って建物の個別内覧会を実施。
 
これらのプロセスを経て「売主希望価格以上で検討している事業者2社」、「売主希望価格に届く可能性がある3社」が
有力候補として残ったため、売主様と協議のうえ、第一価格オークションによる買主決定を行った。結果として売主希望
価格以上の提示は3事業主、購入候補者は物件近隣の事業者よりも市内近郊の事業者の方が多い結果となった。
 
収益物件の価格形成に融資条件は大きな影響を与えるが、本物件の買主は購入価格の減額要請をしなくてもよい融資条件
を獲得してきたため成約に至った。