不動産投資家調査(日本不動産研究所)について
日本不動産研究所が半年に1回公表している「不動産投資家調査」を不動産の投資利回りの推移を見る参考
資料として弊社は重視しています。多数の投資家の予想値の集計結果であり、現時点と近い将来の不動産投資
マーケットを投資家がどのように見ているかがおおよそわかるためです。
今回も定点観測的に2023年4月現在の最新版の内容を参照してみました。
日本不動産研究所のサイト https://www.reinet.or.jp/?page_id=172
※投資家調査の前提:177社の不動産投資関連企業(銀行、保険会社、大手不動産会社、投資銀行、AM会社等)
への回答依頼をかけ、うち143社からの回答を受けての調査結果となっています。
①投資種別毎の期待利回りの推移
・オフィスビル(Aクラス)の期待利回りは6か月前の前回調査から東京赤坂、京都、広島で0.1%の低下がみら
れるが、全体的に横ばいで高位安定している様子である。実際の取引利回りが期待利回りより0.3%~0.4%程度
低い水準にある状態も前回と変わらず、実際の取引利回りは強含みであることが伺えます。
・賃貸住宅も投資ニーズは衰えず、ワンルームの利回りは東京城南、名古屋、大阪でさらに低下した。ファミ
リータイプの利回りも上記3地点に加えて、横浜、広島、福岡でもそれぞれ低下し、これまであったワンルーム
との利回り差がほぼ埋まりつつある。
・物流施設、倉庫の投資利回りは東京で0.1%低下しているだけで全国的には横ばいとなっており、商業店舗
の期待利回りは東京銀座の都心型で0.1%の低下がみられるも、それ以外は郊外型も含めて横ばいに推移している。
・宿泊特化型ホテルの期待利回りは6か月前の調査から、「札幌」、「名古屋」、「大阪」、「那覇」で0.1%
低下していることより、コロナ禍を脱して今後のホテル需要の回復が見込まれています。
②賃料動向は1年前と6カ月前の調査より東京、大阪とも「減退局面に転じた」「減退が続いている」と回答して
いる投資家が約60%で、これから半年後の見通しでも60%代後半と、コロナ禍がほぼ明けたと言える現状でも
上昇に転じていません。在宅勤務が一定割合で根付いたため、今後もオフィス需要が大きく戻らないことが原因
と考えられます。
③元本価格は6か月前と「今がピーク」との見方がほぼ変わらず、不動産投資の底堅さがみられ、当面は相場が
高値圏を維持するような状況にあるが、これから半年後には「ピークを過ぎた」との見方が若干増加しており、
日銀の金融政策の動向を過半の投資家が注目しているとおり、利上げがあると不動産の下落につながることが
懸念される。
④今後の新規投資へのスタンスは「積極的」との回答が6か月前の前回比で1%上昇し、「新規投資を控える」
が前回比2%低下していることから、まだ不動産投資市況は大きく変動することはないと見ている投資家が多い
ようです。
以 上