2024.06.27 専門家コラム

第71回 【家族信託について】

ご挨拶
今回から「信託」について、家族信託で起っている裏事情や受益権分離型信託(複層化信託)について、その他専門家として感じること等を数回にわたり担当させて頂きます。

有限会社コンサルティングネットワークの小林智です。

信託銀行での実務経験を活かし民事信託を活用した相続・事業承継のコンサルを中心に様々なコンサルを富裕層向けに行っています。
実務中心にやっていますと突然実務に集中せざるを得ない状態になった際、原稿の締め切りに間に合わなくなる等、ご依頼者様にご迷惑をおかけすることを危惧し、執筆活動はほとんどお断わりしてきました。

今回、非常に懇意にして頂いているデューデリ&ディールの担当者様からの熱心なお誘いを断りきれずにお引き受けした次第です(笑)。何卒宜しくお願い申し上げます。

 

くすぶり始める家族信託
さて、信託法が改正され民事信託(家族信託)が注目を集めて15年以上経ちました。

非常に柔軟的、かつオーダーメイドでスキームを構築することができるために相続や事業承継のコンサルをする上では、信託を知っているのと知らないのとではかなり違ってくるはずです。

ただ、課題が積み残されたまま、広がってしまった気がしてなりません。このように少し上から目線で申し上げるのは、実際、複数の信託銀行・信託会社で信託実務に携わった経験上、違和感しかなかったからです。

多くの民事信託(家族信託)が仮に第三者のチェックが入ったとすると、まず耐えられないはずです。他の信託コンサルの方が指導した家族信託の信託契約書・スキーム等を目にする機会が多々ありますが、「えっ!ホンマ大丈夫か?」と愕然としてしまうことだらけです。

10年前に組成された家族信託が徐々に出口を迎えることになり、炎上した事案を見聞きするようになりました。将来、さらに様々な問題が発生する可能性があり、民事信託(家族信託)の将来に危機感を感じずにはいられません。

 

判断基準について
そういった「違和感」や「なぜ炎上しつつあるのか」を発信しようと思いますが、その当の発信者がどういう経歴を基にして発信しているのか非常に重要だと感じています。

情報が氾濫している昨今何を信用すればいいのかわからなくなることがあります。

例えば、私自身、本を買うかどうか迷った時、著者の経歴を必ず確認します。例えば、投資の本であれば著者が「評論家」なのか「自ら実際運用している投資家」なのか?「評論家」であればまず買いません。そういう意味で、皆様がこのコラムを読まれる際に「なぜそんなことが言えるのか?」「どういう立ち位置で信託に関わってきたのか?」等、頭の片隅に置いて頂いた方がご納得頂けるはずです。

次回から私の自己紹介をさせて頂きます。(要するに、どこの馬の骨かわからないよりも、わかっていた方がお読み頂いて腑に落ちやすいということです)。次回、「私の履歴書」のような感じになりますがお付き合い下さいますようお願い申し上げます。

 

【プロフィール】

小林 智 氏

(有)コンサルティングネットワーク代表取締役、信託実務家

1967年大阪府生まれ。関西学院大学経済学部卒業

1990年山一證券入社。外資系保険会社を経て、みずほインベスターズ証券(現みずほ証券)プライベートバンキング部の立ち上げに参画。

その後、フランス資本のソシエテジェネラル信託銀行(現SMBC信託銀行)、独立系の富嶽信託取締役(管理型信託、関東財務局長[信]第7号)取締役、スイス資本のロンバー・オディエ信託を経て独立。

1998年からプライベートバンカーとして超富裕層向け相続・信託コンサルティング実務経験豊富。

信託銀行・信託会社における商事信託での実務経験を活かした民事信託コンサル実績多数、各方面(税理士、司法書士、弁護士)への信託実務指導も多数行う。