3月23日に2021年の1月1日時点の公示地価が発表されました。
3月24日の日本経済新聞1面によると地価の変動率は、東京圏、大阪圏とも昨年までの上昇基調から
コロナ禍の影響が多分にあると思われますが、一転して下落に転じました。
3月24日の日経新聞第二部(地価公示特集)に抜粋されている地点の変動を個別に見て参ります。
今年は住宅地、商業地とも全面的に下落しておりますが、一部上昇地点がありましたので、
今回は上昇地点をフォーカスして見て参ります。
●東京都(全2602地点)
①都心23区:特集に抜粋されている902地点
商業地で上昇地点は、「杉並区阿佐ヶ谷」、「世田谷区等々力」、「足立区千住の2地点」のみ。
大都市圏の商業地は軒並み下落するも、住宅近接の駅前商業地は底堅いようです。
住宅地での上昇地点は「港区4地点」、「目黒区8地点」、「大田区2地点」、「渋谷区恵比寿」と
いずれも人気の高い都心住宅エリアの地価は引き続き上昇傾向のようです。
②郊外(23区以外):特集に抜粋されている394地点
郊外の商業地は横ばい地点がいくつかありましたが、上昇地点はありませんでした。
郊外の住宅地は、「立川市」、「府中市」、「調布市」、「稲城市」でそれぞれ3地点以上、公示地価
の上昇地点がありました。4市とも昨年比で人口が増加しておりましたので、その影響かと見られます。
(近隣の八王子市、多摩市では昨年比人口減のため上昇地点はありません。)
●大阪府(全1715地点)
①大阪市内:特集に抜粋されている165地点
商業地で上昇地点はなし。道頓堀等、外国人旅行客が急減した影響で下落幅が大きい地点が集中。
住宅地での上昇地点は「中央区」、「天王寺区」、「阿倍野区」、「都島区」、「城東区」、「福島区」
に点在し、中心部に近い住宅地の価格は若干の上昇傾向です。
②郊外(大阪市内以外):特集に抜粋されている499地点
郊外の商業地は「豊中市」、「茨木市」、「高槻市」、「池田市」、「箕面市」、「守口市」、「枚方市」
と住宅地価が底堅いエリアの駅前所業地で上昇地点がありました。
郊外の住宅地の地価上昇地点は、商業地の上昇地点と同じ市内に多く、それ以外では「堺市」、「吹田市」、
「高石市」に点在するくらいでした。
今回の公示価格ではコロナ禍の影響を反映して、昨年と大きく異なり下落基調一色の内容となりました。
しかしながら、特に住宅地の価格は商業地ほどには実勢価格の下落がないことも反映し、下落地点は多い
ものの、横ばいか微減で調整をしているように見受けられます。
今回での地価上昇地点はこの時期でも上昇している人気エリアか、都心中心部に近い穴場エリアや駅前商業地等、
これまでの評価額が抑えられていた地点の評価額調整も含んでいるかと思われます。