はじめに
今回から米国生命保険についてコラム連載させていただく小山です。
日本における生命保険の役割は、基本的には死亡時の保障を目的とするものが主流です。
しかし、近年、日本の富裕層や事業継承を控える法人オーナーが、相続対策や資産運用の一環として、米国生命保険に注目しています。
米国の生命保険は、運用効率や契約の柔軟性、そして資産保全の観点から、日本の生命保険とは異なる特徴を持ち、それが富裕層のニーズに応える形となっています。
本コラムでは、米国生命保険が相続税対策や資産運用としてどのように活用できるか、また日米の生命保険との違いについて解説します。
①米国生命保険について
米国における生命保険は、資産を「守る」「増やす」「相続する」という3つの事を完璧に実行する為に、世界の富裕層に活用され発展してきました。
最大の特徴として、支払う「保険料」に対して、遺族が受け取る「保険金」が大きいという事があげられます。
つまりは、割安な保険料で大きな死亡保障を受け取る事ができ、その死亡保険金の額は数億円単位で購入可能という事です。
被保険者死亡時における遺族の受取金額は10億や20億、30億、 場合によっては100億円以上という設計も可能です。
また、死亡保障を備えつつ、キャッシュバリュー(積立金)が貯まる仕組みがあり、これが資産形成にも大きく寄与しています。
②なぜ日本の富裕層が注目するのか
日本の富裕層が米国生命保険に注目する理由として、大きく以下の3点が挙げられます。
高額な保障
日本の生命保険よりも、高額な死亡保障を付帯できる商品が多いです。
特に、莫大な資産を持つ富裕層にとっては、万が一の際に家族をしっかりと守るための高額な保障は魅力的です。
資産形成
米国生命保険は、高い運用益が期待できるため、資産形成の手段としても利用できます。
また、子供へのギフトとして活用される事もあります。
相続税の納税資金準備として
資産の多くは不動産や自社株で、相続税によりその資産を処分することが多々ありますが、米国生命保険の保険金であれば十分な納税準備金を「現金」で準備する事が可能です。
③相続税による資産の減少について
相続税は、日本において高い税率が課されており、富裕層にとっては大きな負担となります。相続税率は最大で55%にも達するため、遺産の半分以上が税金として徴収されることになります。特に、不動産や事業継承に伴う資産が大部分を占める場合、これらを現金化して税金を支払う必要が生じることも少なくありません。
このような資産減少を防ぐための手段として、米国生命保険が活用されるのです。
例えば、 被相続人 (父親) が被保険者となり10億円相当の保険を購入することによって、その方が亡くなられた際に、 相続人 (遺族) は30億円や50億円相当の資金を保険金により捻出することが可能となり、 この保険の仕組みを活用してアメリカでは、事業主や富裕層は自身の理想通りの資産保全、事業承継や相続を実現されているという事です。
日本では、「相続3代で資産は無くなる。」と言われていましたが、今や「2代で資産は無くなる。」と言う声も聞くような時代になりました。
しかし米国では相続の度に資産を増やしていく事が常識となっており、2代で資産は2倍以上に、3代では3倍~5倍にと言う例も珍しくはありません。
④米国生命保険の優位性について
米国生命保険は、資産を守りつつ効率的な相続対策を講じるための強力なツールです。
特に人気なのが、「ユニバーサルライフ生命保険」と言われる、キャッシュバリューが増加するタイプの生命保険です。
その優位性は主に以下の点にあります。
非課税メリット(米国在住者に限る)
米国では、死亡保険金が非課税で相続人に支払われるため、相続税の負担を大幅に軽減できます。日本の相続税法では、生命保険金には一定の非課税枠が設けられていますが、米国の非課税措置の方が柔軟で、より大きな金額が相続人に渡る可能性が高いです。
運用性
米国生命保険のキャッシュバリューは、契約者が生存中でも引き出しや貸付が可能です。これにより、必要に応じて資産を流動化させることができるため、突発的な資金ニーズに対応できます。
米ドル資産としての利用
米国生命保険は、ドル建てで運用されるため、為替リスクをヘッジしつつ資産の分散を図ることができます。特に、日本円の価値が下がる局面において、ドル建て資産を保有することは、富裕層にとって効果的なリスク分散手段となります。
(次回へ続く)
【プロフィール】
小山 直喜 氏
ソリューションアドバイザー Imagine Hawaii USA Investment LLC 代表
大手電器メーカーの人事部門勤務を経て、2009年に独立。
海外生命保険を活用した資産形成や相続対策を自身でも実践する傍ら、
富裕層を対象とした世界レベルのプロフェッショナル・ネットワークを核とする
ファミリー・オフィス(相続、事業承継、資産の保全・運用等)のサポートを行う。
大阪・東京・沖縄・ハワイを拠点に活動。