(前回からの続き)
⑤生命保険業態の日米比較
米国生命保険の優位性を理解するためには、日本と米国の生命保険業態の違いを明確にする必要があります。
以下では、コスト、運用、アンダーライティング(契約引受)の3つの側面から比較します。
コストの違い
日本の生命保険は、保障にかかるコストが高めに設定されています。これは、低金利環境や高齢化社会における保険料の調整が必要であるためです。
一方、米国では市場の規模や競争が激しく、生命保険のコストが相対的に低く抑えられています。
運用の違い
日本の生命保険は主に元本保証型の商品が多いですが、米国では株式や債券などの投資商品を活用した運用型の生命保険が主流です。
米国のユニバーサルライフ保険は、キャッシュバリューが積み立てられ、その資金を運用に回すことが可能です。
これにより、リターンを期待できる反面、リスクも伴うことから、契約者の投資知識が求められる場合もあります。
アンダーライティングの違い
アンダーライティングとは、契約時の審査プロセスを指しますが、米国保険では健康状態に関する質問が非常に詳細で、過去の病歴や家族歴など、幅広い情報を開示することが求められ、遺伝子検査の結果を提出する場合もあります。
また、職業、ライフスタイル、趣味なども考慮されます。
これにより、保険契約の引き受けが高リスクと判断された場合、保険加入を拒否される可能性や、保険料が大幅に高くなる可能性があります。
これに比べ、日本の場合は健康状態に関する質問は、米国に比べて比較的簡潔です。
遺伝子検査の結果を提出することは一般的ではありません。
このことから、支払う保険料設定に関して、米国では個人のリスクに応じて保険料が設定されるため、保険料の幅が大きいのが特徴で、高リスクと判断された場合は、保険料が大幅に高くなる可能性がありますが、日本の場合、平均的なリスクに基づいて保険料が設定されるため、保険料の幅は米国に比べて小さいのが特徴です。
⑥リスクについて
米国生命保険には大きなメリットがありますが、リスクも存在します。
主なリスクとしては、以下の3点が挙げられます。
為替リスク
米国生命保険はドル建てのため、円安が進行すれば日本円換算で資産価値が上がる一方、円高になれば資産価値が減少するリスクがあります。
為替の変動が予測しにくいため、長期的な視点で判断することが重要ですが、現在の国際社会において、日本円で全ての財産を持ち続ける事のリスクを考えたほうが良いという意見もあります。
運用リスク
米国の生命保険は、保険会社が資産を運用するため、市場の動向に左右される可能性があります。
特に、株式市場や債券市場の変動が激しい場合、キャッシュバリューが減少するリスクもあります。
法的リスク
米国と日本の法制度の違いから、契約内容や保険金の扱いに関して、税制や規制の変更が生じる可能性も考慮しなければなりません。
また、米国における契約に関しては、現地の法律や税務上の影響を適切に理解する必要があります。
(次回へ続く)
【プロフィール】
小山 直喜 氏
ソリューションアドバイザー Imagine Hawaii USA Investment LLC 代表
大手電器メーカーの人事部門勤務を経て、2009年に独立。
海外生命保険を活用した資産形成や相続対策を自身でも実践する傍ら、
富裕層を対象とした世界レベルのプロフェッショナル・ネットワークを核とする
ファミリー・オフィス(相続、事業承継、資産の保全・運用等)のサポートを行う。
大阪・東京・沖縄・ハワイを拠点に活動。